おはようございます!
江戸川区 不動産 エージェント 江戸川不動産情報館です。
取得したい建物の状況別で耐震基準適合証明書を取得するための流れや判断のポイントなどを解説したいと思います。
結論としては、中古住宅の取引に詳しい(建物性能や耐震性も含む)仲介会社に依頼しないと、住宅ローン減税が利用できない事態に陥る可能性が高いということです。
記事でご紹介する内容を消費者が個人で判断するのは困難です。だから、責任をもって対応してもらえる事業者選びが大切になります。
(住宅ローン減税に関する問い合わせが本当に多いです。そしてそのほとんどが住宅ローン減税を諦めなければならない状態なのです。)
中古の戸建て住宅を取得する場合の判断のポイントは以下になります。
1:木造か木造以外か
2:築年数が20年以内か20年超えか
今回は築20年超えの木造住宅編です。
以前の記事はこちら
☆2018/10/15 耐震基準適合証明書と住宅ローン減税【築20年以内の木造住宅の場合】
耐震基準適合証明書と住宅ローン減税
①内見前に確認したいこと
・新築時の設計図書などの資料が残っているかどうか
・リフォーム履歴(特に増築の有無)
・雨漏れなど劣化が発生していないか
・耐震改修済みかどうか
<解説>
・新築時の設計図書などの資料が残っているかどうか
新築時の平面図には筋交いという構造材の位置が記載されています。
耐震診断は非破壊検査になるので、図面がない場合は筋交いの特定が困難になります。
図面がない場合の耐震診断では、筋交いがないものとして評価されるので、著しく評価が下がってしまいます。
言い換えると、図面のない物件は、耐震改修にお金がかかる物件ということです。
・リフォーム履歴(特に増築の有無)
リフォーム履歴は重要です。これまでに実施したリフォームの内容を把握しておく必要があります。
もしこれまでまったくリフォームを行っていない物件だとしたら、劣化改修のためにある程度予算を割く必要があります。
また、リフォーム履歴があっても、外壁・屋根など防水に関するリフォームが実施されていない場合も改修費用がかかる可能性が高いです。
特に注意したいのが増築です。
増築された方法によっては、性能評価がまったく行えない状況も考えられます。(木造住宅に鉄骨を使用した、中2階を作ったなど)
こういった物件はそもそも検討に値しません。
事前に増築の有無を確認しましょう。
・雨漏れなど劣化が発生していないか
ある程度年数が経過すると建物は劣化します。
雨漏れの有無は建築に詳しくなくても確認できますので、水に関する事故がこれまで発生していないか確認しましょう。
・耐震改修済みかどうか
これまでに耐震診断や耐震改修を実施したことがあるか確認します。(実施されているケースは少ないと思います)
耐震改修済みの場合は、どのような工事を行ったのか、設計書や施工履歴などの文書が残っているか確認しましょう。
履歴が確認できない場合、過去に実施された耐震改修工事は、その工事を行った事業者しか評価できません。
少し前に悪徳リフォーム事業者の問題もあり、耐震基準適合証明書を発行できるレベルの改修工事が行われていないことも考えられます。
いずれにせよ耐震改修済みの物件は要注意です。
物件の検討が進んでからこれらの問題が発覚すると、一気に「振り出しに戻る」ことも考えられるので、早めに仕分けしておきたいところです。
②内見時に確認したいこと
・外壁、基礎にひび割れがないか
・雨漏れがないか
・床下、小屋裏の点検口があるか
・売主へのヒアリング
<解説>
・外壁、基礎にひび割れがないか
内見時には屋内の確認が中心だと思いますが、外周もぐるっと一回り確認した方が良いです。
外壁がモルタル(塗り壁)の場合は、ひび割れがないか確認します。
基礎にひびがないかも確認しましょう。
また、サイディングの目地や開口部周りのコーキングもひび割れがないか確認しましょう。
・雨漏れがないか
雨漏れをしたことがある物件は室内の壁や天井に雨染みの跡が残っています。
各部屋を見て回る際に、雨染みがないか確認しましょう。
・床下、小屋裏の点検口があるか
台所に床下収納庫があるかどうか、ない場合は収納の内部などに点検口がないか確認しましょう。(リフォーム済みの場合は、塞がれている場合もあります)
小屋裏の点検口は最上階の収納の内部に設置されていることが多いです。(べニアを載せているだけの状態)
床下、小屋裏の点検口がないと、既存住宅売買瑕疵保険に加入することができません。
・売主へのヒアリング
仲介会社のフィルターがかかると、本当に必要な情報が聞き漏れるおそれがあります。内見時に売主が同席する場合は、「内見前に確認したいこと」について、直接ヒアリングすることをお勧めします。
③不動産売買契約前に実施したいこと
・インスペクション(耐震診断と瑕疵保険検査)
・リフォーム見積り(リフォーム事業者の選定)
<解説>
・インスペクション(耐震診断と瑕疵保険検査)
不動産売買契約と耐震や瑕疵保険は直接の関係がありません。したがって、不動産売買契約締結後にインスペクションを実施して、万が一想定以上の改修費用が必要であると判明したとしてもそのことを理由に不動産売買契約を白紙撤回することはできません。
築20年超えの木造住宅は何らかの改修工事が必要と判断される可能性が高いです。
不動産売買契約までに改修費用を確認しておかないと、予算内に収まるかどうか判断できず、安心して取引を進めることができません。
その物件の取引状況(他に買いたい人がいるかどうか)にもよりますが、築20年超えの木造住宅は、インスペクションの実施を優先した方が良いと思います。
・リフォーム見積り(リフォーム事業者の選定)
リフォーム事業者の選定も早めに行った方が良いです。
築20年超えの木造住宅の取引では、建築士によるインスペクションや証明書発行が必要となるため、耐震や瑕疵保険の対応が可能なリフォーム会社を選ぶ必要があります。
通常のリフォームのように、価格だけで事業者選びを行うことができないので、ご注意ください。
不動産売買契約後はかなりスケジュールがタイトになるので、ゆっくりリフォーム内容や事業者を選ぶ時間がありません。
リフォームをじっくり検討されたい方は、物件を選んでいる段階でリフォーム事業者の選定も進めておく必要があります。
④不動産売買契約に確認すべきこと
・住宅ローン減税を適用する方法を決める
・住宅ローン減税を適用するために必要な方法の具体的なスケジュールを確認する
<解説>
・住宅ローン減税を適用する方法を決める
築20年超えの木造住宅は、下記のいずれかの方法をとらないと住宅ローン減税の対象になりません。
いずれも申し込めばすぐに実現するものではなく、相応に時間のかかる手続きになるので、不動産売買契約にあたって、予め後工程の動きを決めておく必要があります。
方法1 所有権移転前に耐震基準適合証明書を取得する(現実的ではありません)
方法2 所有権移転前に瑕疵保険検査基準に合格し、既存住宅売買瑕疵保険に加入する(こちらも現実的ではありません)
方法3 所有権移転後、居住開始までに耐震改修工事を実施して耐震基準適合証明書を取得する
多くの場合、方法3になります。
耐震診断をいつ実施するのか、改修費用は予算に収まるのか、所有権移転までに仮申請が必要だが手続きは大丈夫か、新住所登記を行ってはいけないことを仲介会社や金融機関は理解しているか、など確認事項がたくさんあります。
これらのことを後回し(不動産売買契約後)にすると、経過した日数分、手続きが間に合わないリスクが増えていきます。
ちなみに弊社には耐震基準適合証明書についてよくお問い合わせをいただくのですが、ほとんどの方が所有権移転を間近に控えてご連絡いただきます。
対応が間に合わないケースが非常に多いので、築20年超えの木造住宅を購入する場合は、まずは方法を決めてから不動産売買契約を行うことが大切です。
・住宅ローン減税を適用するために必要な方法の具体的なスケジュールを確認する
不動産売買契約を締結するということは、引き渡し日(所有権移転日)も決まるということです。
住宅ローン減税をはじめ、様々な制度は所有権移転日がキーとなります。
従って、利用したい制度がある場合は、予め手続きに必要なスケジュールを確認して、その上で引き渡し日を決定する必要があります。
例えば、方法2の瑕疵保険ですが、築20年超えの物件で検査をしてそのまま合格する確率は低いのですが、数年前にリフォーム済みなど、物件の状況によってはそのまま瑕疵保険に加入できるケースもあります。
瑕疵保険は加入の手続きに時間がかかります。場合によっては1か月以上必要なことも考えられます。加入手続き完了後に付保証明書という書類が発行されるのですが、不動産売買契約前にこの付保証明書がどれくらいのスケジュールで発行されるのかを確認しておかないと、方法2が利用できないという事態に陥るリスクがあります。
まとめ
築20年超えの木造住宅を安心・安全に取引するには、「改修費用」が必要です。
たまたま条件が良くて、結果的に改修費用が必要なかった、というのは問題ありません。ただ、思った以上に改修費用がかかることが後でわかって、予算をオーバーしてしまったため必要な改修工事が実施できないという事態が最悪のケースになります。
しつこいようですが、築20年超えの木造住宅の場合は、「改修工事」を前提に取引を進めます。
「改修工事」が前提であれば、いくらかかるのか当然気になりますし、改修費用を算定するにはインスペクションが必要になるので、インスペクションの対応が遅くなることも考えにくいです。
この改修工事の考え方が他の状況(築浅やマンション)とは異なりますので、ご注意いただきたい点になります。
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